第1章 2.ナナシ村

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「ん…」 ミーナが目を覚ますと、そこは家の中だった。 ベッドに横になり、布団がかけられている。 横をむくと、椅子に座って読書をする老婆と目が合った。 「おや、目覚めたね。気分はどう?喉が乾いているでしょう、水はいかが?」 笑いジワが人の良さを醸し出す老婆が、ゆっくりとコップ1杯の水を差し出した。 ミーナは体を起こすと、それをすぐに飲み干した。 「ありがとうございます。あのっ。えっと…」 「あなた、村の入口で倒れたのよ。覚えているかしら?うちの主人と会ったでしょう?」 「あ、はい。おばあさん、ありがとうございます。私、その…」 老婆はミーナの隣に座ると、背中をさすり、優しく語りかける。 「落ち着いて。私はロゼ。このナナシ村に住んでいるの。あなたの名前は?主人ったら、よく聴き取れなかったみたいなのよ。」 「ロゼさん、助けてくださって、本当にありがとうございます。私はミーナと申します。2日前、気づいたら森の中の祠にいました。でも、名前以外なにも思い出せないんです…。」 ミーナは、なるべく落ち着こうと、ゆっくり息をしながら話した。 ロゼは、ミーナの背中をさすり続けている。
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