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「ん…」
ミーナが目を覚ますと、そこは家の中だった。
ベッドに横になり、布団がかけられている。
横をむくと、椅子に座って読書をする老婆と目が合った。
「おや、目覚めたね。気分はどう?喉が乾いているでしょう、水はいかが?」
笑いジワが人の良さを醸し出す老婆が、ゆっくりとコップ1杯の水を差し出した。
ミーナは体を起こすと、それをすぐに飲み干した。
「ありがとうございます。あのっ。えっと…」
「あなた、村の入口で倒れたのよ。覚えているかしら?うちの主人と会ったでしょう?」
「あ、はい。おばあさん、ありがとうございます。私、その…」
老婆はミーナの隣に座ると、背中をさすり、優しく語りかける。
「落ち着いて。私はロゼ。このナナシ村に住んでいるの。あなたの名前は?主人ったら、よく聴き取れなかったみたいなのよ。」
「ロゼさん、助けてくださって、本当にありがとうございます。私はミーナと申します。2日前、気づいたら森の中の祠にいました。でも、名前以外なにも思い出せないんです…。」
ミーナは、なるべく落ち着こうと、ゆっくり息をしながら話した。
ロゼは、ミーナの背中をさすり続けている。
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