一話 この世界で一人ぼっちの君

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枩葉  「だから、天井……?」 桜母  「はいっす!」 枩葉M 「メロンってたしか地面すれすれになるんじゃ……」       意味もなく吊るされているメロンを見つめる枩葉。 枩葉  「さくr……」 桜母  「先輩、おなか減ったので三人でお昼ご飯行きましょう。」 〇喫茶店(昼過ぎ)       枩葉、桜母、フーラ、喫茶店のカウンターで座り注文を待っている。 桜母  「改めまして、フーラちゃん。私、月路 桜母っす。出来ればさくらって呼んでほしいっす。」 フーラ 「はあ……」 枩葉  「それで、さくらさん。聞き込みはちゃんとしてましたか? まさかメロンもらっただけで帰ってきたってことは……」 桜母  「もちろん、ちゃんと聞き込みして来たっすよ。それじゃあ、さっそく。」       桜母、胸元のポケットから手帳を取り出す。 桜母  「今日の早朝から不審な男二人組がこの辺りをうろちょろしてるのを何度も目撃した人がいたっす。」 枩葉  「外見の特徴とかは聞けました?」 桜母  「えっと、二人とも黒スーツ。一人は先輩みたいなゴリラ、もう一人はいかにもインテリのもやし、だそうです。」 枩葉  「そうですか……じゃないですよ! どさくさに俺みたいなゴリラって言ったでしょ!」 桜母  「あ、気づきました? 冗談ですよ、冗談。」 枩葉  「……」 フーラ 「……」       枩葉を見て笑いを吹き出すフーラ。 枩葉  「笑うなよ。気にしてるんだから。」 桜母  「ここに来るまでにフーラちゃんから聞いた話を合わせると、やっぱりこの二人がフーラちゃんを狙っている人物で間違いなさそうっすね。」 枩葉  「まあ、そうだな。となると、どうやってこの子が見つからないように匿いながらそいつらを捕まえるかだな。」 桜母  「いっそのこと、フーラちゃんを囮にしちゃえばいいんじゃにっすか? そのほうが手っ取り早いっす。」 枩葉  「警察官失格。」 フーラ 「嫌です。」 桜母  「ちょっと、二人して言い方ひどくないっすか!? なら先輩は何かいいアイデア持ってるんすよね?」 枩葉  「今のとこは、ない。」 桜母  「……」       数秒の沈黙。 桜母  「もう嫌っす。これ以上いい考えなんて浮かばないっす。」       と、机に突っ伏す桜母そこへ注文した料理がカウンターへ運ばれる。
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