一話 この世界で一人ぼっちの君

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マスター「行き詰ったときは、気分転換が一番の近道ですよ。これ食べて頭を気分転換させなさい。」       と、桜母の前にナポリタン、サンドイッチ定食――枩葉、サンドイッチ定食、フーラの前にオムライスが置かれる――はじめてのオムライスに目を輝かせるフーラ。 桜母  「待ってました! いただきます。」 フーラ 「い、いただきます……」       と、桜母の真似をして手を合わせる――オムライスを口に運ぶ。 フーラ 「おいしい、卵とトマトってこんなに合うんだ……!」 桜母  「ん~。相変わらずマスターの作る料理は美味しいっす。」       美味しさに声を漏らしながら食べ続ける二人。 マスター「話は聞こえたが、坂井君、なかなか面倒なことに巻き込まれているようだね。できることなら何でも協力するから、そのときは何でも言いまえ。」 枩葉  「はい、ありがとうございます。」 マスター「ああそれと、坂井君。そこの御嬢さんのことなんだが……」       別の席から注文の声がかかる。 枩葉  「はい。彼女、フーラのことですか?」 マスター「いや、また今度でいいや。気にしないでくれ。」       と、呼ばれた席へと向かう――その後ろ姿を見つめる枩葉。 枩葉M 「相変わらずクールでかっけえな……でも、何だったんだろうか。マスターが話そうとしていたことって?」       ×      ×      ×       喫茶店を出た三人――交番に向けて歩き出す。 桜母  「いやーお腹いっぱい、満足っす。」 フーラ 「美味しかった……」       満足そうにお腹を摩る二人――二人を見て溜息をつく枩葉。 枩葉  「まさか俺のおごりだなんて……」 桜母  「いいじゃないっすか。先輩とご飯行っても、ちっとも奢ってくれないっすからたまには、ってことで。」 フーラ 「なんか、貧乏くさい。」 枩葉  「それを言うならさくらさんの方がもっと……」       ゆっくりと話をしながら歩いて行く三人――その後方、三人を望遠鏡から監視する男A 。 男A   「おいおい、せっかく見つけたと思ったら察と一緒じゃねえかよ。どうするよ、あれ? 殺っちまうか。」 男B   「……早まるな。俺に考えがある、任せろ。」       
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