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桜母 「さっきから何騒いでるんすか? 虫なんて大きくなってもせいぜい手のひら程度なんすから放っとけばいいんすよ。」
フーラ 「へ!? 手のひら程度……? 人を襲うくらい大きくは、」
桜母 「そんなに大きくなる訳ないっすよ、ありえないっす。」
と、大笑いする桜母。
桜母 「恰好もそうっすけど、フーラちゃんは面白いっすね。まるでお伽の国から来た子みたいっす。」
フーラ 「――そうです、ね。」
フーラ、愛想笑いで適当に流す――その様子を見つめ首をかしげる枩葉。
○交番(夜・7時前後)
日が沈み、人通りが少なくなってきた商店街――枩葉・桜母、書類整理――フーラ、休憩スペースで風船を使って遊んでいる。
桜母 「フーラちゃん、さっきも聞いたっすけどご家族と連絡取ることできないっすか?」
フーラ 「――」
桜母 「まあ、できるならとっくにしてるっすよね……」
業務に戻る桜母――沈黙が続く――突然鳴り響く腹の音。
枩葉 「……腹減ってるのか? そっかもうこんな時間か。」
フーラ 「今の私じゃない。」
と、首を振る――枩葉の向かいの席では顔を隠している桜母――耳まで真っ赤になっている。
桜母 「すみませんっす。我慢できませんでした。」
枩葉 「二人ともちょっと待ってろ。作ってやるから。」
キチンへ向かう枩葉――食材を取り出して料理を始める。
× × ×
枩葉 「できたぞ。」
と料理を折りたたみ式の机に配膳する――いち早く料理に手をくけるフーラ・桜母。
フーラ 「おいしい……」
桜母 「先輩、また腕あげました?」
枩葉 「食材が新鮮なだけだって。いただきます。」
食欲のままに食べ進める二人――枩葉ゆっくりと食べる。
桜母 「ごちそう、」
フーラ 「さまでした。」
満足そうな様子で一息ついている二人――食べ終えた枩葉、洗い物のためにキッチンへ。
桜母 「フーラちゃん、先輩って料理が趣味なんすよ。」
フーラ 「へえ、だからあんなに料理が……ん?」
ふと頭上の風船が目に留まるフーラ――目を細めて風船を観察する。
桜母 「フーラちゃん、どうかしたっすか?」
フーラ 「……膨らんでる?」
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