一話 この世界で一人ぼっちの君

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〇商店街(翌日、早朝――曇り)       大あくびをする枩葉――桜母、枩葉の様子に心配する。 桜母  「先輩、昨日寝てないんすか?」 枩葉  「……寝てないです。っていうか、昨日はほんとに大変でしたよ。フーラが誘拐されかけるわ、誘拐犯を捕まえたはいいもののその後始末してたら日の出でしたし。」 フーラ 「そうだったんだ……」 桜母  「何すか、それ!? 聞いてないっすよ!」 枩葉  「いや、二人とも爆睡だったじゃないですか。こっちからすれば、何で寝てたんですか?」 桜母  「……そんなこと言われたって、風船が割れた後に急に眠気が襲ってきて気づいたら寝てたっす。」 枩葉  「え、マジで言ってるんです……? まさかあの部屋に俺もいたら全員寝てたってことじゃ……」       青ざめる枩葉。 桜母  「まあでも犯人の二人組みは捕まえたんで良かったじゃないっすか。」 枩葉  「……いや、誘拐犯はでしたよ一人でしたよ。」 桜母  「何言ってるんすか、フーラちゃんを狙ってるのは二人組みっすよ。」       はっとした様子で顔を見合わせる二人――とっさにフーラを見ると後ろについて来ていたフーラの姿が無い――二人の後方、フーラを抱え逃走する男A――松葉、桜母、男を追う。 ○堤防       堤防に逃げ込む男B――フーラ、気が付く。 フーラ 「ちょっ、また!?」 男B  「何!? 馬鹿な、もう起きたのか。」       男Bの上で暴れまわるフーラ。 フーラ 「放せ!」 男B  「がっ!?」       男Bの後頭部に肘を入れる――男B、衝撃でフーラを掴む力を緩める――フーラ、頭から降り、受け身で着地する――すぐに振り返り掌を男に向け、呪文を唱える。 フーラ 「――ラッキーライズっ!!」       と、フーラの掌が光りだす――そして、松葉の体が光だし、 枩葉  「え? 嘘!? うそおおおおおおおお!?」       突如、浮いた枩葉――本人の意思とは関係なく高速で男に向かっていく。 男B  「な、何だこ……」       枩葉の強烈なタックル(本人の意思関係ない)が決まる――男B、ノックアウト。 桜母  「まさに、人間ミサイルっす。じゃなかった、先輩大丈夫っすか?」       枩葉のもとに駆けつける桜母――フーラ、松葉を見下ろしている。
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