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桜母 「え……?」
フーラ 「私、ここから違う世界から来たんです。と言っても気づいたらこの世界にいたので帰り方も分かりませんけど。」
二人にはかなげに笑いかけるフーラ。
フーラ 「丁度帰り方も探さないといけなかったので、お二人は私のことなんて忘れてください。それでお互いこれ以上嫌な気持ちにならずに終わるならそれでいいです。」
桜母 「フーラちゃん……」
枩葉 「――」
フーラ 「お世話になりました。」
フーラの世界のお辞儀をする。
枩葉 「おい、それ本気で言ってるのか?」
フーラ 「え……?」
フーラの頬には大粒の涙が伝っている――それに気づいだフーラ、目を擦り、涙をふき取る――しかし、涙は留となく溢れてくる――枩葉、フーラの側により頭を撫でる。
枩葉 「――悪かったな。別に俺もさくらさんもフーラを傷つける気はなかったんだ。だた、突然のことでちょっとお互い頭が整理できてないだけなんだよ。俺もさくらさんもフーラが嫌いになったなんて言ってないだろ。」
フーラ 「――」
うなずくフーラ。
枩葉 「素直に言ってくれればよかったのに。自分の世界への帰り方が分からないって。」
フーラ 「――異世界から来たなんて言ったら気味悪がられると思ったから。」
枩葉 「まあ、いきなりそんなこと言われても信じるのは難しいかな……」
と、自分の言葉の矛盾に気づき笑いを漏らす――桜母、フーラに近づき頭を下げる。
桜母 「ごめんなさいっす。フーラちゃんの気持ちを理解できてなかった私が悪いっす。」
フーラ 「ううん。私も当たってしまってごめんなさい。」
桜母 「それじゃあ、お相子っすね。」
フーラ 「――うん。」
桜母、フーラに笑いかける――うなずくフーラ。
枩葉 「――さてと、仲直りしたところで一つ聞きたいんだが、元の世界に帰る方法の手掛かりはあるのか?」
フーラ 「ううん、まったくない。」
枩葉 「そうか……じゃあ提案なんだが、」
首をかしげ見上げるフーラ。
枩葉 「俺らと一緒に探さないか? 元に帰る方法。」
桜母 「いいっすね、それ。私たちがフーラちゃんを返してあげましょう!」
フーラ 「え!? い、いいの、二人とも?」
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