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フーラ 「――」
フーラ、川に飲み込まれる――それを見下ろす男たち。
男B 「なんて奴だ。下流だ、下流を探せ。どこかに打ち上げられているはずだ。」
男A 「ここまで来て大金を逃したなんてたまったもんじゃねえ、まったく。」
男たち、二手に分かれ橋を離れる。
〇堤防(数時間後)
堤防の遊歩道でパトロールをする枩葉――突如自転車を停める。
枩葉 「ん? 何だあれは? すごい恰好だな。魔法使いのコスプレか?」
流木を杖代わりにもち覚束ない足取りで歩くフーラの姿――フーラ、突如地面に突っ伏す。
枩葉 「って、おいおいおい……マジかよ!?」
急いで自転車を降りてフーラの元へ向かう枩葉。
枩葉 「おい、びしょ濡れじゃないか! 君、大丈夫か!?」
と、フーラの肩を揺する――かろうじて意識を取り戻すフーラ。
フーラ 「――けて、助けて。あの人たちが、わ、た――」
意識を失うフーラ。
枩葉 「しっかりしろ、おい! おい――」
〇商店街(交番)
休憩スペースで寝ているフーラ。
フーラ 「ん……」
ゆっくりと瞼を開けるフーラ――視界には交番の天井。
フーラ 「ここは……?」
枩葉 「おお、気が付いたか。」
と、部屋の入り口から顔を出す――フーラ、ガタイのいい枩葉におびえた様子で身構える。
フーラ 「わ、私を捕まえてどうするつもり?」
枩葉 「え? 何言って……?」
フーラ 「とぼけんな! とぼけるくらいなら、さっさと元の世界に帰しなさいよ!」
枩葉 「ちょっと、ちょっと待ってくれ。本当に何を言ってるんだ。俺は目の前で君が倒れたから、ここに運んで看病しただけだ。君を捕まえようなんて思ってない。」
と、身振り手振りを駆使して説明する。
フーラ 「え? 看病……?」
落ち着きを取り戻すフーラ――自身の身の回りを確認する――擦り傷には絆創膏、フーラの足元には布団が。
フーラ 「/……手当以外に何もしなかったでしょうね?」
枩葉 「何言ってんだよ!? 当たり前だ。――とりあえず、何があったのか聞かせてくれないか?」
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