わたしには友達が必要だった

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 わざわざご丁寧に余命まで宣告してくれた。なんというアフターケアまで優しい医者なのだ。私はそう口に出そうだったが喉元でとどめることが出来た。 「出来れば、最期の時をご家族と悔いの無い様に過ごしてくださいね」  にっこりと笑う看護師をただ呆然と見ることしかわたしには出来なかった。  医者の目算ではあと三ヶ月でわたしの命は潰えてしまう。  この三ヶ月わたしはどうやって生きていけばいいのだろうか?  そんな想いを募らせつつ、自宅へと戻り、何の気なしに親の書斎へと入って何か参考になるものはないかと探す。  すると、なにやら古びた一冊の洋書を隅のほうから掘り起こす。  凄くホコリを被っているようで、手で払うとむわっとホコリが舞い、わたしは思わず咳き込んでしまった。  良く見るとカバーは皮製で何やら円陣のようなものが刻まれているように見えた。 「……魔法陣?」  ファンタジー漫画であるようなそんな魔法陣。それが本の表紙に描かれているように感じる。その本を開くと、 「見事に英語だな。読めない……」  其処には日本語が書かれているわけがなく、全て英語で書かれていた。  普段のわたしならさっさと諦めて別のものを探すのだが、その時は違った。 「そうだ。適当にページを開いて出たモノでも試してみるかな」     
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