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何故かこの本に書かれているものを試したくなったのだ。余命宣告を受けたので自棄だったのか、あの時のわたしの心理状態は異常だったと今では思える。
本を持ったまま居間へと移動し、適当にその本からページを開く。
そのページに描かれている魔法陣は比較的にわたしの画力でも書きやすそうなものだった。
「こういうのって、確か自分の血とかで書くのだっけ?」
昔見たファンタジーアニメでそんな事をしていたような気がしたのを思い出し、裁縫箱から安全ピンを持ってきて、右手人差し指に鋭い針を突き立てる。
「……っつ」
チクッとした痛みの後、刺したところから血が珠のように盛り上がりやがて流れていく。それを近くにあったコピー用紙に本に描かれているままの魔方陣をトレースした。
「よし、我ながらカンペキ」
出来上がった魔方陣を掲げて自画自賛するわたし。
「ま、出来たというところで何も変化ないみたいだし、お絵かきの時間は此処までだなぁー」
私ははぁ……とため息を漏らす。
「……一人は虚しいなぁ。せめて……がいれば」
そう私が呟くと、いきなり魔法陣が光りだしたのだ。
びっくりして魔法陣が描かれた魔方陣を放り投げるわたし。
「な、なに!?」
それから数秒後、いきなり部屋が眩しくなったかと思うと、居間にはわたしの他にもう一人、
橙色の髪をした男が居た。
「だ、誰?」
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