わたしには友達が必要だった

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 また悪い人が家にやってきたのかとわたしは身構える。 「お前か? 私を呼んだのは?」 「え?」  男の言葉に目を丸くするわたし。 「魔法陣にて私を召喚したのは、お前だろ?」  男はわたしに再度訊ねる。 「確かに魔法陣は描いたのはわたしだけど」 「ならば、お前が私を召喚したということで相違ないな。私の名前はゼンマンだ。一つだけお前の願いを叶えよう。ただし、代償としてお前の命を貰い受ける」 「命を?」 「そうだ。何事も代償を払ってこその願い事や契約だからな」  ゼンマンと名乗った男はわたしにそう告げる。 「願い事は何でもいいのね?」 「あぁ、私の手にかかれば何でも叶えてやるが?」  ゼンマンは自信満々にそう答えたので、わたしは目を輝かせてこう言ったのだった。 「じゃあ、わたしの友達第一号になってよ!!」  私の言葉に間抜けな声を出したゼンマンのことを、私は一生忘れることが出来ない。
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