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わたしには友達が必要だった
わたしはこの家で孤独だった。
親が早くに他界し、大きな屋敷には私と親が遺した莫大な財産だけが残った。
遺産目当てに見知らぬ親戚がわたしのことを引き取ろうと争い、はたまた、悪い人たちが家に立ち入ろうとしていることもあった。
そんな人たちにわたしは道化を演じて追い払い始めた。
狂ったように金属バットを持って親戚たちを追い払ったり、ある時は悪い人たちを言葉巧みに泣かせたりしたこともあった。
そんなこんなで、この家には誰にも寄り付かなくなってわたしはさらに一人ぼっちになってしまった。
近所にわたしに対する悪い噂が広まったせいか、友達なんて作れるわけがなく、一人には広すぎる屋敷の中で一日中ぼぉっとしていることが多くなった。
そんな日常が何十年も続いていったある日のこと、ちょっと体調が優れなくて病院で精密検査をした結果、
『検査の結果、末期のすい臓がんです』
医者はもう治る事は難しい病気というレッテルをわたしに貼り付けた。
『余命は恐らく三ヶ月くらいでしょうねぇ』
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