拝啓 事件解決の糸口を探すためにこれを読んでいる貴方へ

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これは私の遺書となるだろう。もうみんな死んでしまったから殺されてしまったから。私はわたしの手で終わらせたいと思う。ここで何が起きたか貴方は知っているだろうから説明はいらないだろう。これ以上この事件に首を突っ込むつもりならやめたほうがいい。これには多くの人と国が関わっている。証拠とともに公となれば事件の名が歴史に残るだろう。その名は人畜事件か人間の踊り食いか、わたしは知るよしもない。 最初にいなくなったのは斉藤あかねだった。先生に聞いたところ迎え先が決まったそうだ。喜ばしいことで私もいつかその日がくるものだと心躍らせていた。身寄りのない私たちは孤児院で一緒に育った友達であった、だから違和感もあった。どうして旅立つ前に何か一言いってくれなかったのだろうかと。この孤児院は学校も病院もすべて併設されていて小さな街のようになっている。逃亡したわたしだから分ったことだけど、私達は生まれてから死ぬまでこの塀に囲まれた施設から出ることはなかった。そのあとも次々と仲間が引き取られていく。それに気づいた私は席が隣の加賀あけみに、引き取られたときにはお互い手紙を送ろうと約束をした。手紙が送られてくることも小さな街から抜け出した後加賀あけみに会うこともなかった。
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