第1話「異世界にはマンガってないんですか」

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□デザイン事務所にて[冬・屋内・夜]  アパートの一室を利用したデザイン事務所。12畳程度のフローリングの部屋に、個人用のPCデスクが4つ、ゴムマットが敷かれた作業台と打ち合わせ用の4人掛けテーブルがそれぞれ1つずつ置かれている。それだけでもギュウギュウ詰めなのに、窓がない壁は全て本棚で埋めつくされており、異様に窮屈な印象の部屋だ。  本棚にはマンガの単行本のほか、色校正や白焼き(※両方とも印刷前に用意する確認用のサンプル)が乱雑に詰め込まれている。PCデスクに置かれているパソコンは1台を除き全てMacで、その前で3人のデザイナーが黙々と作業をしていた。    4人掛けのテーブルには、央、あざみ、珠羅の3人が座っている(央とあざみが横並びで、その向かい側に珠羅。あざみは高校の制服を着ており、他2人は私服)。机の上には鉛筆書きのイラストラフや、蛍光色のカラーチップ、赤ペンなどが散らばっていた。マンガ単行本の装丁をどのようなデザインにするか、打ち合わせしているのだ。散らばっている紙の1枚に、「『みっつのお茶屋さん』①ちょこみんと著 駒沢出版刊 カバーラフ」と記されている。 央「じゃあ、このラフで行きましょう!」     
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