会いたくなかった

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 太腿を撫でるだけで。首筋にキスするだけで。  声を出さないようにするためか真帆は唇をきつく結んでいる。その様子が私の気持ちをさらに高ぶらせた。 「真帆……かわいい」  私は真帆の身体の扉を開けた。 「っ……!」  私の腕の中で快楽に震えている。真帆の結ばれた唇から嬌声が溢れ出す。  甘い声が私の耳も心もくすぐる。 「もっと……もっと声を聴かせて」   私は結ばれた唇を開くように指先でなぞる。  それでも彼女は声を出さないとばかりに唇を噛む。  そのしぐさに思わず顔がほころんでしまった。  ああ。真帆の扉をもっと開きたい。 「あっ……はぁ……ッ!」  ずっと彼女を乱したいと思っていた。乱れる彼女が見たかった。乱れる姿を何度も想像しながら過ごした夜だって数えきれない。真帆。真帆。私の舌は開いた真帆の花弁をすっかり潤して、自身のそれも真帆と触れ合うことを欲して、私の心に命じる。  ……さあ、ひとつになるのよ。     しっとりと濡れそぼったふたり花弁を合わせようした、そのとき、枕元のパネル時計が終わりを知らせる無粋な電子音楽を奏でた。     
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