この笑顔を私はきっと

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 私のいつものポジションは自動ドアと縦座席が作る角のところ。  ごく稀に上手くいけばミサキ君の左隣に座れる。  でもどちらかというと角に立つ方が好き。  進行方向に向けばさりげなくミサキ君を観察できるし、緊張してむせるなんてことが起こらない。  そう、昨日私は久々にミサキ君の横に座れたことに緊張して、わいてくる唾をひたすら飲み込んでいたら逆にむせて盛大に咳をしてしまった。  それはもう周囲の注目を集めに集めてしまって肩身の狭い思いをしつつ周りに迷惑にならないよう腕で口元を覆っていたら、よかったら、とマスクとのど飴をくれたのがミサキ君だったんだ。
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