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その後ろにボールの入った大きな鉄製の籠を重そうに抱えるマネージャーたちが歩いてくるのが見えた。
俺は一年生の男子部員に声を掛けて、マネージャーのもっている籠を持ってやれと命令した。
これは先輩の特権で、この命令に逆らう事は出来ない。
三人の男子部員がマネージャーのところへスパイクの裏を鳴らしながら走って行く。
そして交代してその籠を部室へと持って行った。
その後から一年生と二年生の四人のマネージャーが俺たちに礼を言いながらマネージャーの部室へと歩いて行った。
運動部のマネージャーはマネージャーだけの部室があり、その部屋を使っている。
その部屋に入った男は誰もいない筈で、中がどうなっているのか想像もつかなかった。
「先輩」
ふとそんな声がして、俺と彰は振り返る。
さっき俺に手紙をくれた一年生のマネージャー、高木だった。
高木明日香。
「明日香」と親しみを込めて呼ぶ部員も少なくないが、俺は彼女の事を「高木」と呼んでいた。
そのままアイドルグループにでも居そうな可愛い子だった。
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