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姉貴は俺の襟を掴む。
「あんたの好きなモノ訊くよりも、あんたと話がしたいのよ…。女心偏差値低すぎよ」
姉貴はニヤリと笑うと手に持ったバッグを振り回しながら出て行った。
俺は姉貴に感心した。
しかし、その姉貴の浮いた話は聞いたことがない。
二階にある俺の部屋は恐ろしく灼熱で、エアコンが効き出すまで着替えて、昼飯を食うことにした。
キッチンに行くとお袋が仕事に行く前に作ってくれたと思われる山盛りのチャーハンが置いてあった。
俺はそれをレンジに入れて温める。
冷蔵庫に入ったサラダとドレッシングを取り出すと食卓の自分の席の前に並べて、温め終えたチャーハンをレンジから取り出した。
お袋のチャーハンは美味い。
これも俺の好きなモノの一つかもしれない。
しかし、周囲より大人だというイメージを植え付けた俺が、「お袋のチャーハン」なんて書けない。
何が大人に見えるだろう。
姉貴の椅子の上に置いてあった雑誌を見つけ、俺はパラパラとめくった。
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