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高木は俺の傍に走ってきて、手に持った缶コーヒーをじっと見た。
「コーヒー。いつも飲んでますね」
そう言ってほほ笑むと、小走りにマネージャーの部室へと帰って行った。
俺はその背中を見送った。それを見てた彰は肘で俺を何度も突いた。
「何だよ…。明日香かよ…。あの手紙の主は…」
そう言って冷やかした。
メールもSNSもあるこの時代に手紙ってのは新鮮だった。
俺は家の方向の違う彰とは途中で別れ、一人、家路を歩く。
ポケットに入れた高木からの手紙を出してもう一度読んだ。
好きなモノか、好きなモノってなんだろうな…。
俺はその手紙を家に帰るまでじっと見つめていた。
立っているだけで汗が滲む暑さ。汗で手紙の端に皺が寄っていた。
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