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序章 光輝の手は復讐のために
重い頭が左右にふらつくのを、アサレラは感じていた。
「どうだい、兄さん。そのヘルム、古代のウルティア兵が使っていたというものだよ」
アサレラの頭部をすっぽりと覆う兜は確かに頑強だが、その分だけ鈍重である。
視線をあげた矢先に目を射る初秋の澄んだ日差しがまぶしく、アサレラは目を眇めた。
「……おれには、少し重いですね」
肘下まで覆うグローブに包まれた手で兜に触れると、側頭部から突き出た湾曲する角へ指先が当たる。
鈍い色に輝く胸当ての下に薄青い胴衣を着たアサレラは今、頭ばかりが異様に重たげだった。見た目にも不釣り合いであるし、実用的な問題としても、頭が重ければ戦闘の際によろめいてしまうだろう。
だが、アサレラには、どうしても頭を隠さなければならない事情があった。
頭というより、正確には――髪を。
露天商の老人が、アサレラへ笑いかける。
「確かにせっかく珍しい色の髪の毛なんだ、隠したらもったいないかもな」
だからこそだ――とは、アサレラは言わなかった。
「魔王を退ける聖剣レーグングスってのも、そういう色してるのかねえ」
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