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切っ先のような銀色の髪は、顔も覚えていない実母から受け継いだものであり、今となってはアサレラと聖剣をこじつけられる発端となったものだ。
「まあ、うちの品揃えは王都一だ。兄さんが気に入る防具をじっくり選んでくれ」
アサレラは、無言で目を伏せた。
コーデリア城の謁見の間でコーデリア王トラヴィスが切々と語ったのは、つい昨日のことだ。
聖剣レーグングスを継ぐのは銀色の髪と、イーリス教の〈涙と茨〉の聖痕を持つ者である、と。
――アデリス……あの女が残したものは、どれもこれも最低だ……!
十七年前に行方をくらませた母アデリスを思い起こすと、アサレラの胸の底で怒りが沸き立ち、朝の広場の賑やかな音が遠ざかっていく。
アサレラが憎悪を抱く父ロビン、母アデリス、養母コートニー。
このうちロビンとコートニーは、燃えさかる炎とともに消えた。故郷のセイレム村は魔物によって滅びたのだ。
しかしアデリスは、生前ロビンが手を尽くしても、ついぞ見つからなかったという。
アデリスはどこかで生きているかもしれない。
そう気づいたとき、迸る殺意の矛先は寸分違わず母へ向けられた。
――アデリス……、きさまだけはおれが……!
「――お母さま!」
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