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「何これ……」
思わず言葉が洩れていた。
「呪いの、ヴァイオリン……?」
脳裏に浮かぶのは、亡くなる三週間ほど前の彼の姿。
その日、彼は見慣れないヴァイオリンケースを持って帰ってきたのだ。どうしたのか訊くと「知人から譲り受けた」と短く答えた。その時は特に気にも留めなかったけれど、まさか――。
あれは何日のことだったろうか。必死に記憶を掘り起こすけれどはっきりしない。嫌なものが胸に広がるのを感じながら、ぱらぱらとページを捲っていく。
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