第4章 風の眷属神の祠

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神の眷属というのは皆、龍の姿をしているものなのだろうか。 スセンと話し合いを始めた様子のルトヴィラを眺めて、シオナは呑気にそんなことを考えていた。 そもそも龍は伝説上の生き物で、司祭の蔵書にあった絵姿を見ていなければ、シオナもそれとは気付かなかっただろう。 不意にその龍の目がシオナの方を向いたのに驚いて、会話が漸く耳に入ってきた。 『この子の髪に宿り・・・』 シオナは驚いてスセンを振り返る。 スセンがシオナの意を汲んだように言い返してくれたが、ルトヴィラも諦めない。 結局条件を切ってきたルトヴィラに、断る術はないのではないかと危機感が募る。 「どうする? シオナ。悪い話ではないと思うが、神を宿すっていうのは、色々と面倒だ。」 スセンのやや苦味の強い口調で、益々気乗りがしなくなった。 「この髪は、やっと私のものになったばかりです。例え神様にでも、あげたくありません。」 我儘と思われるのを承知できっぱり断ると、スセンが思わずというように笑った。 だが、ルトヴィラの方からは、ふんという声と共に、強い風が吹いてくる。 『相分かった。我は自主的にこの子に付いて行くことに決めた。契約はいらぬ、ヴァラトヴァの。特別な儀式を経ずともこの子は我が見える。我を選び取るよう説得を続けるとしよう。』 「ならば、少しお姿を小さくして頂けますでしょうか? そうですね、小さめの蛇程の大きさに。」 口元を分からない程僅かに笑みの形に歪めたスセンの要求に、ルトヴィラはまた鼻を鳴らして、それでもそれに従った。 祠に清かな風が流れる。 遠くの空から黒い雲が流れてきて、雷の音が聞こえ始めた。
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