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この御時世にありえないような言葉を出し、代わりに甘い煙を旨そうに吸い込む。
男もそれにつられて、少し流し込み、タバコを吸う。
「本当ですね。いつも惰性で吸ってたのに、こういうやり方もあるんですね。ラムも葉に染み込ませたりするんですか?一番好きだと言ってたので」
「ラム含め、熟成感のあるお酒は合いますね。ただこれがタバコに関しては気に入ってるんです。煙にボディが出る分、ラムとかウイスキーにも合うし。もちろん葉巻でも良いんですが、私はこれが好きです」
これがきっかけだったのか、バーテンダーは男に話しかける。
「お客様はこちらの方ではないですよね?お仕事か何かでこちらに?それとも待ち人ですか?」
男は即答せずにグラスに目を落とす。
「あ、すみません。普段はこんな詮索しないんですけど。あれ?私どうしたんだろう」
「いえ、いえ、そんな謝らないでください。こっちこそ、そんな大したあれじゃないのに黙っちゃって」
男はグラスの酒を少し飲み、口を開く。
「仕事ではないんです。まあ、観光に近いかも。どうしても来たかった街だったので」
「そうですか。で、いかがですか?この街は?」
バーテンダーの問いに、男は何かを思うようにゆっくりと答える。
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