行ってはいけない廃ラブホテル

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 僕が高校時代にある心霊スポットが有名になったことがあります。そこは廃ラブホテルで郊外の人気のない地区の一角にあり、卑猥な落書きが書かれているような荒れ果てた廃墟でした。  僕の高校の友人O君が言うにはそこでおじさんの霊を見たというんです。  O君は当時はまだ高かったハンディカムのビデオカメラを持っていて、愚にもつかないパーティや友人の音楽ライブ、高校野球の試合なんかを撮っていました。  当然そのラブホテルへ行くときも撮影係に任命され、意気揚々と肝試しに向かったんです。  O君を含め友人三人ほどでそのラブホテルへ向かったそうです。真夏の暑い時分でかなり夜の遅い時間に行ったそうです。  立ち入り禁止の看板の下がったトラロープをくぐって廃墟の奥を目指したそうです。  ピンクを中心としたカラフルなお城みたいなホテルだったそうですが、見るも無残にボロボロになっていて雰囲気があるなとO君は思ったそうです。  カメラを当然構えていたのですが、当時のそれも高校生が買えるようなカメラにそこまでの暗視性能はなく、その時のビデオは暗くて何が写っているかはよくわからなかったそうです。  壊れたドアから建物の中に入り少し進んだときだったそうです。 「何してんの? 君たち?」  と突然声を掛けられたそうです。  見るとTシャツに作業ズボンの様なごく普通の恰好をしたおじさんが立っていたそうです。おじさんは少し怒ったような表情をしていたとO君は言っていました。  持ち主が見回りに来てたんだ。反射的にそう思ったそうです。 「すいません」とO君含めみんなで頭を下げた後でした。  いないんです。そのおじさん。明らかにそこにおじさんがいたとその場の全員が思ったくらいに普通に見えたそうです。  それが頭を下げてそれからあげると煙の様に消えていたんです。  O君たち三人はパニックになって、停めてあった車まで全力で逃げたそうです。  後でビデオを見てみると、おじさんの姿こそ写ってはいなかったんですが「何してんの? 君たち?」という声だけははっきり録音されていたそうです。
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