序章

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序章

1  この世に生きる全ての生き物は、必ず寿命というものをもつ。すなわち、人もまた、決められた時間の中で限られた命を生きるしかないのだ。  だからこそ、人は懸命にもがき、あがき、人生を送る。  それを自然の摂理と受け入れて、満足いこうがいくまいが、あなたは生きなければならないのだ、その時が来るまで。  しかし、もしもその摂理にあらがうことができるとしたら、あなたはどうするだろうか。もしも決められた運命に逆らえるとしたら、あなたはどうするだろうか。  この世に定められた自然の摂理を捩曲げる、そんな不思議な職業人を私は知っている。  時間売買人。  私は彼らをそう呼んでいる。  これは時間という形なきモノを生業とする、彼を訪れたとある客たちの物語。
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