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その後も何度か男の子の死について聞いてみたのだけれど、男の子は自分が死んでいると自覚していなかった。そのかわりに桃香が死んでいると思っているらしい。
男の子の幽霊が現れるなんて物騒だけど、桃香は変わらずにお盆になると崖の上に登る。
スケッチブックと色鉛筆を買ってみた。当初はクレヨンを探していたのだけれど、色鉛筆を見たら欲しくなった。それに、クレヨンで描くよりも色鉛筆が似合う風景だ。
絵の中に、男の子は描くべきだろうか。彼にモデルを頼んだらやってくれるだろうか。
今年の死ぬ理由はちゃんと聞いてくれるだろうか。
桃花は男の子と会話をするために一年間、自分の死ぬ理由を考えたのだ。
今年も死なないと、次のお盆まで生きられない。
スカートを軽く持ち上げて、立入禁止のテープを乗り越えた。
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