新世界物語

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 街に入ると、二人は石造りの建物が奥に横にと所狭しに並んで広がる光景を目にした。 「うわぁ、こりゃどこで魔法を研究しているのか分かんないよ」  レイラは右手をかざして、そこから覗くように辺りを見回した。 「まずは街行く人に、魔法の研究をしている場所を聞いてみたらどうでしょうか?」 「おぉ、そりゃいいねぇ」  マリーの提案を聞き、レイラは右拳で左手の平を軽く叩いた。前には人が5人ほど歩いている。そのうちの一人である、杖をついた老人に道を尋ねることにした。 「そこのじいさん、悪いけど人探ししているんだ。魔法を研究している人」  レイラのぶっきらぼうな質問に、老人はばつが悪そうに答えた。 「何じゃ、それが人にものを聞く態度か。魔法なら色々あるし、どこでもやっているであろう」  老人の振る舞いを見てレイラは機嫌を損ねるばかりだが、マリーはまずいと思い、フォローを入れた。 「すみません。彼女、悪気があって聞いているんじゃないんです。この星の外に出ても過ごせるような魔法を研究していると聞いて、この街にやってきました」  勇ましいレイラとは対照的な、マリーの少女ならではの可憐さを見て老人は機嫌を直し、鼻の下を伸ばした。 「おぉ、そうかいそうかい。それなら北へまっすぐ進んで、突き当たりの西に曲がった所にある酒場の隣でやっているわい」 「ありがとうございます」  マリーはお辞儀をすると、レイラはぼやいた。 「なんだい、あの態度の違い」 「レイラさん、礼儀を知っておくべきですよ……!」  そのことを聞いてレイラは首をかしげた。 「ふぅん、礼儀ねぇ……」 「それに、お前さんには華がないからな」  老人が口を挟む。レイラは「なんだとぉ!?」と怒鳴って右腕を構えると、マリーは「まぁまぁ、二人とも落ち着いて」と間に入った。  それから北へ直進すると、道中で魔導道具屋や薬草屋、さらには武器屋などといった建物があり、その中でもレイラは武器屋にいったん興味を示したが、すぐ目的地に向かおうとした。 「あれ? 武器屋に寄っていかないんですか?」  マリーの疑問に対し、レイラは堂々と答えた。 「あぁ。あたしの剣は親父から受け継いだものでね。それにこいつとはもう5年の付き合いになる。手放したらバチが当たっちゃうよ」 「そうなんですね」 「行こ、早くしないと日が暮れちまう」
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