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老人はこれまた古びたテーブルを囲うイスの一つに座ると、飲みかけていたと思われる茶をすすった。
「どうした、座りなさい」
老人に促されるまま二人は老人と対面するように隣り合ってイスに座った。
「この世界の魔法はライトニングに思いを通わせながらある者は呪文を唱え、またある者は魔導道具を使い、またある者は無言で手をかざすことによって使うことができる。それは分かっているな? その魔法を使う際に生き物とライトニングの通じ合う思いの力が魔力なんじゃ。その他にも魔力には他者から施された魔法に耐えたり、持続させたりする効果がある」
「ふぅん、てことはあたしが道具や呪文を使わなくても魔法が使えるのは、ライトニングと通わせるその思いの力が強いからってことなのか?」
老人は再び茶をすすりながら答える。
「まぁ、そういうことじゃ」
これを聞いたマリーがレイラに感心した。
「レイラさんってやっぱりすごいんですね。私も見習わなきゃ」
はりきるマリーを老人は励ました。
「お譲ちゃんも鍛錬を積めば、一流の魔導師になれる。それを目指してがんばりなさい」
「はい!」
老人がにこやかな表情をしてお茶をすすり終えた。
「ところでお前さんたちは何しにここへやってきたのじゃ? 何かわけありそうに見えるが」
レイラが話を始める。
「それなんだよ、じいさん。あたしたちこの星の外に出て、外の世界を見て回りたいんだ。そのために外に出られるような魔法を施してほしいんだ」
そのことを聞いて老人はうつむいて右手をあごにかざし、うなった。
「ふーむ、外の世界か……ありゃきついぞ」
「どういうことだい!? じいさん」
老人は右手をあごにかざしたまま、視線をレイラの方に向ける。
「わしらの間で普及している魔法は、そもそもフェニックスの生態を元にして不死を目指した魔法が分化したもの。今の段階で不死魔法を施すには人間の魔力では耐え切れず、魔法を施された人間は急激に体が老化して死を迎えてしまう。そこでわしらは不死魔法を、火の中、水の中、そして外の世界といったそれぞれの空間の中で生きられるようにするための護身魔法へと変化させたのじゃ。火の中、水の中ではその魔法は成功した。じゃが外の世界で生きられるようにするための魔法だけは成功していない」
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