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話を聞いてレイラは察した。
「火の中、水の中では並の人間でも護身魔法を持続させるだけの魔力があるが、外の世界に出るには並みの人間では護身魔法を持続させるだけの魔力が足りない、ということか」
「名答じゃ」
老人は立ち上がり、玄関とは別の扉に歩いて向かった。
「ついてきなさい」
3人が別の部屋に入ると、そこには人が入れるだけの大きさの、円筒状のガラス管が3つほどあった。ガラス管にはスライド式の扉がついている。
「この中に入って、3日間出ずにいられたら、護身魔法の最低限の効果はあるだろう。途中での飲み食いはできるが、中は真空になっている。つまり、この中で過ごすにはわしの施した護身魔法を持続させることが鍵じゃ」
「3日間も!? まぁ、いいや。やってみる」
二人が並ぶと、老人が両手をかざす。
「それじゃあ、魔法をかけるぞい。それを持続させるのじゃ」
老人が両手をかざすと、二人は体のラインをなぞるように青いオーラに包まれた。
「これが護身魔法か」
「感心してないで、とっとと真空管の中に入らんかい」
老人に催促されるまま、二人はガラス管の中に入った。扉が閉まり、密室状態になる。二人はその場で静止し、施された護身魔法を持続させた。1時間後、レイラの青いオーラが激しく光りだした。そののちに、レイラのオーラは消えてしまった。レイラはすぐさまガラス管に寄りかかり、壁を右拳で叩く。
「そう慌てんでも今すぐ出してやるわい」
老人が扉の鍵をはずして開けると、レイラがすぐさまガラス管の外に出て大きく息継ぎをした。
「初めてにしては大したものじゃ。たいていの者は5分も経たぬうちに持たぬからな。相当魔法慣れしていたのじゃろう。じゃが」
老人はマリーの方に指をさした。
「あの娘はさらにやりおるわ。魔法の乱れが感じられん。あの状態だと1日は持つじゃろう」
「そ、そこまでできるのか!?」
レイラは口を大きく開いた。すると、レイラはあることに気付く。
「あぁっ、マリーのオーラが消えそう! がんばれ……!」
マリーのオーラは最初に施されたときより輝きが弱くなっていた。
「いや、待てよ……消えそうなんじゃなくて、むしろ消えそうで消えないのか? ひょっとしてオーラが弱まることで魔法がより持続するんじゃないのか?」
そのことを聞いて老人は思った。
―この娘、頭は回るし、コツを掴むのも早いわい―
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