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それまで微笑んでいた姉の表情が曇りだし、それをパンクは見つめだした。
「どうしたの? 姉ちゃん」
「あ、いや。ううん、なんでもないよ」
姉は取り繕うように再び笑顔を取り戻した。
家の窓から見える空はすでに黒く染まっており、数多の星たちが輝いていた。
「空がきれいだねぇ」
姉が感傷にふけると、パンクはある疑問を唱えた。
「ねぇ、姉ちゃん。この星の外には一体何があるのかなぁ?」
弟の疑問に女戦士は聞き返した。
「なんだい? 突然」
「僕、時々思うんだ。この星で僕たちはライトニングで魔法を使って火を起こしたり、建物を動かしたりしているけど、外の世界にもライトニンングがあって魔法が使えたりするのかな?それとも別の技術があってそれで人々は生きているのかな?」
弟の次から次へと出る疑問に、女戦士は満足に答えられなかった。
「さあねぇ。姉ちゃん、学校には行ってないしね」
女戦士の家は3年前に父をドラゴンとの戦いで、母を病気で失っており、経済的に厳しかったので彼女自身は学校に通えなかった。17歳の女戦士も2年間ドラゴンスレイヤー(ドラゴン退治屋)として腕を磨いてきたが、超一流とされていた父には及ばず、報酬も父が生きていたころほど得られていない。そのため女戦士は自身と弟を養うので手一杯で、学校も弟しか通わせられていなかった。その弟も今は病気で学校に通える状態ではない。
「学校の先生たちも外の世界のことをよく知らないって言っているんだ。あるのは歴史の本だけ。なんでも、昔この星にやってきた移民船が墜落して、その生き残りがライトニングに思いを通わせて火を起こしたのが魔法の始まりだって書いてあるんだけど……」
この惑星についての歴史はさまざまな憶測が飛んでいるが、そのひとつとして代表的なのが、パンクが話したような説である。その説によると、惑星に墜落した際に生き残った二人の少年少女が、ライトニングに念じて火を発生させて寒さをしのいだのが魔法の始まりだと言われている。
「僕、いつかこの星を出て外の世界を見てみたい。そして外の世界を見て人々がどんな風に暮らしている見てみたい。それから……」
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