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ちょうど二人は背中合わせになっている。合計およそ100体のゴブリンの大群が二人に牙を向きながら棍棒を振りかざして襲い掛かると、二人は大群の先陣を崩そうとした。レイラは右手をかざして炎を、マリーは渦巻いた杖をかざして雷をゴブリンたちに叩き込む。丸焦げになったゴブリンたちが大群の方になだれ込むと、レイラはそのまま突撃して剣を構えてゴブリンたちを切り裂きながら大群を駆け抜ける。
「ドラゴンスレイヤー5年の、このあたしにかなうと思ったのかい!」
マリーはそれを援護し、まとまったゴブリン達にはやや大きな雷を、孤立しているゴブリンには小さな雷を見舞ってやった。
そうしていく内に、二人が20体ほどになったゴブリンの群れを挟み込むと、それぞれ渦巻いた炎と雷を放った。
「喰らいな!」
「当たって!」
渦巻いた炎と雷は交わり、その様はまるで激しい火花のようだった。渦巻いた大きな火花はゴブリンを黒く焦がしながら、群れを吹き飛ばしていった。
「とうとう片付いたか、あんたがいてくれて助かったよ」
「いえ、私はそんな大したことは……」
マリーが頬を赤く染めると、レイラは彼女の左肩を軽く叩いた。
「もっと自信を持ちなって。今の魔法はライトニング同士を直接反応させて起こす雷魔法だろ?できるやつなんてそんなにいないよ」
「詳しいですね。でも、あなたの魔法もすごかったですよ。何も呪文や道具もなくあれだけの炎魔法を使うなんて……えっと……名前はなんと言うのですか?」
マリーはまごつくと、レイラは胸を張り、剣を後ろに掲げて名乗った。
「あたしの名前はレイラ・モートン。レイラって呼んでおくれ。まぁ、魔法はさっきみたいに炎魔法しか使えないけどね」
「レイラさんですね。剣術にも恐れ入りました。誰かに教えてもらっていたのですか?」
レイラはその問いを聞いて、空を見えなくしている木々の先を見つめて答えた。
「そうだねぇ……子供のころ親父から教わってたんだけど、親父はドラゴン退治の途中でレド洞窟で死んじまってさ。きっとさぞかし強いドラゴンだったんだろうねぇ」
レイラのつぶやきにマリーは表情を変えた。
「そうだったんですか……あ、ごめんなさい! そんな話をさせてしまって……」
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