第1話 ある日突然、桃太が消えた

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「ここは? いったい何が?」  左右を見回す桃太。  少女が厳しい顔で言い渡す。 「お聞きなさい。百川桃太くん。ここはキミがいた世界とは別の世界。こちらは、その世界の王であらせられるゾア陛下。脇に控えるのが宰相のキレキロ閣下。そして私が博士のミケ。キミは、我が国で行われる祭祀のために、時空の垣根を超えて呼び寄せられたのです。キミの役目は……」 「なんだ。やっぱり夢か」  桃太は立ち上がった。  顔色を変えるキレキロ。 「無礼な! 御前であるぞ!」 「夢にしては声がやけに響くなぁ」  ゾア王は眉をひそめる。 「何だコイツは? 頭がおかしいのか? それとも肝が太いのか? オイ! 聞け! 今起きていることは夢ではない!」  落雷のようなゾア王の声。  よろける桃太。 「夢……じゃない? じゃあ、なんだよ?」 「よく聞け。オマエを異世界より召喚したのは、祭りの供物とするためだ。七日後の日の出から始まって、日が落ちて、日が昇り、また沈んで、それを三七回繰り返すまで、オマエは我らの狩りの獲物となる」 「狩り? 供物? さんじゅうななかい?」  ゾア王に目配せされ、ミケが説明を引き継ぐ。     
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