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「ここは? いったい何が?」
左右を見回す桃太。
少女が厳しい顔で言い渡す。
「お聞きなさい。百川桃太くん。ここはキミがいた世界とは別の世界。こちらは、その世界の王であらせられるゾア陛下。脇に控えるのが宰相のキレキロ閣下。そして私が博士のミケ。キミは、我が国で行われる祭祀のために、時空の垣根を超えて呼び寄せられたのです。キミの役目は……」
「なんだ。やっぱり夢か」
桃太は立ち上がった。
顔色を変えるキレキロ。
「無礼な! 御前であるぞ!」
「夢にしては声がやけに響くなぁ」
ゾア王は眉をひそめる。
「何だコイツは? 頭がおかしいのか? それとも肝が太いのか? オイ! 聞け! 今起きていることは夢ではない!」
落雷のようなゾア王の声。
よろける桃太。
「夢……じゃない? じゃあ、なんだよ?」
「よく聞け。オマエを異世界より召喚したのは、祭りの供物とするためだ。七日後の日の出から始まって、日が落ちて、日が昇り、また沈んで、それを三七回繰り返すまで、オマエは我らの狩りの獲物となる」
「狩り? 供物? さんじゅうななかい?」
ゾア王に目配せされ、ミケが説明を引き継ぐ。
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