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広場には罪人らしき手枷首枷の男が引き立てられてくる。
そしてライオンの体、イノシシの牙、サイの角を持つ異形の獣が四頭連れてこられた。
桃太は落ち着かない目で遠近(おちこち)を見回す。
「なんだ、これ? こんな動物、見たことないぞ」
広場では役人が、罪人の両手両足と四頭の獣をそれぞれ結びつける。
ゾア王がアゴをしゃくってのたまう。
「少年。見ろ。聞いたところでは、あのマーのような優れた獣はオマエの世界にはおらんそうだな」
ミケが自慢気に解説する。
「あれは便利な動物でね。頑丈で、頭が良くて。家畜にもなり、軍用にもなります。しかもエサはそのへんに生えている草ですむのです」
お決まりの儀式の後に、四頭のマーは鞭打たれて四方に駆けた。
空を割るような罪人の叫び。それは、足と腕がちぎれるとともに止んだ。
ゾア王、キレキロ、ミケが、動じた色も見せずに、こもごも感想を述べる。
「くたばったか」
「まだ意識はあるかもしれません」
「どちらもたいした違いはありませんわ」
ゾア王は目を細めて桃太を見た。
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