第1話 ある日突然、桃太が消えた

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「少年。見たか? そちの住んでいた腑抜けた世界ではこのような処刑は行われておらんそうだな。どうだ、分かったか。ここが、まったく別の世界であるということが。そう。そちはもう、元の世界には、歩いても、泳いでも、空を飛んでも、戻ることはできん」 「……」 「どうした? 何を黙っておる? 舌がなくなったか?」  群衆の喝采がうねりとなって桃太をゆさぶる。  口元を手で抑える桃太。嘔吐をこらえるのに必死で、ゾア王に言葉を返せないでいる。
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