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第2話 強制的に狩りの獲物に
予告なしに異世界に連れて来られ、牙が生えた異装の原住民に「狩りの獲物とする」と宣言され、見たくもない公開処刑の場に引っ張られた桃太。
桃太はゾア王らとともに、再び謁見の間に戻った。
心は嵐にもまれる小舟のように揺れに揺れたが、頭の働きは冷静だった。
「つまり、三七日間、この国の騎士七人がボク一人を追い回すムエゲの祭祀にボクは強制的に獲物としてエントリーさせられる。そして、ボクをつかまえて、王宮まで戻ってきた者がその祭祀の勝者」
「そうそう。素直に理解できたじゃないか」
ゾア王は満足気にうなづいた。
「ボクは、こんな馬鹿げたゲームに参加するつもりはありません。元の世界に帰してください」
「ダメだ」
にべもないゾア王。
宰相のキレキロが後を引き取る。
「おまえが同意しようとしまいと、七日後には追手はおまえに襲いかかる。逃げたくなくばそれでも結構。しかし、その場合、七人がおまえ一人に殺到するのだから、無傷ではすまん。あるいは死んでしまうかもしれん。供物は生きたまま捕らえねばならない、というわけではないからな。その場合、ボロボロになったおまえの亡骸を手に入れたものが勝者となる」
桃太は唇を噛む。
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