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(冗談じゃないぞ。まるっきり救いがないじゃないか。こいつら、人の命を何だと思ってるんだ)
「もう、よかろう。余はほかの用を……」
立ち上がりながら言うゾア王。
歯ぎしりする桃太。
「最後まで逃げ切ったらどうなるのですか? ボクが誰にも捕まらずに三七日をしのいだら、その時はどうするのですか?」
「オイ、聞いたか? この若造、『逃げ切る』と言ったぞ」
「いや。申し分のない供物でございます。ウフフッ」
キレキロがシワだらけの顔をさらにシワくちゃにして笑った。
「この王がオマエに約束してやる。その時は、願いを一つ叶えてやろう」
「ええと……。重要なことですからはっきりさせておきましょう。彼の願いを聞き入れる条件は次の二つ。三七日を逃げ切った場合。それと、三七日が到来する前に、この供物が追手すべが脱落した場合……ですね?」
博士のミケがおずおずと確認した。
「追手すべてが脱落? コイツが? 我が精鋭七人すべてを打ち負かすとでも言うのか?」
「現実的にはあり得ません。しかし。理論の上で、この者が七名の追手を制圧する可能性も考える必要があります」
「よかろう。認めてやろう」
「約束ですよ。ボクが最後まで逃げ切ったら、ボクを元の世界に……」
「くどい! 王は約束を違えん」
* * *
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