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謁見の間を出ると、ミケが桃太に向き直った。
「わたしがキミの世話係です。分からないことがあったらドシドシ聞いてね」
「ハア……。あの、アナタ、何者なんですか?(どう見ても、オレより年下なんだけど)」
「私は、この国の、歴史・しきたりのすべてに通じている博士という役職の者です。そして、今回のムエゲの祭祀の調整役も兼ねています。これからは私のことを閣下と呼んでくださいね」
自分より頭ひとつ分ちいさいミケを見下ろしつつ、桃太は内心思った。
「絶対に呼びたくない」
* * *
広大な王宮の、無駄に多い部屋の一つ。
長椅子に腰掛ける桃太。
向かいの長椅子にはミケが。
二人の間には白いテーブルが。
「これなんかキミの口に合うと思いますよ。キミの世界で言う『焼き鳥』です」
「焼き鳥にしては大きいですね。どうやって食べるんですか」
コテに似た二つの道具でもって、ミケは実演してみせる。
「これでこうやって、こうして、こうすれば……。あとは手で取って、こうやって食べればいいです」
「ああ。どうも」
「何か欲しいものがあれば言ってください。キミの世界と似たようなものはあるから」
「なんでボクのいた世界のことを知ってるんですか?」
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