第1話 ある日突然、桃太が消えた

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■ 異世界には異世界の法が  ここは時空を超えた異世界。  天然の岩山をくり抜いて作った王宮。その中の一室。桃太は寝台に横たわっていた。  桃太の顔を心配そうに窺うのは、あのメガネの少女。  不意に、桃太のまつ毛がピクリと震えた。そして目を開けると、体を起こした。 「う……。あれ?」 「よかった。無事、目を覚ましてくれて」  ニッコリ笑った少女の口元から牙がのぞく。 「エッ! 牙?」 「では参りましょう。陛下も待っておられます」 「ヘーカ?」 「さあさあ。着替えて、着替えて」  少女は準備してあった服をベッドに置いた。それは、桃太にとっては、まったく見慣れない装いだった。 「なに、この服?……」    *   *   *  だだっ広い謁見の間。床が鏡のように磨かれている。  玉座でふんぞり返っているのは王宮の主、ゾア王である。  桃太が、メガメ少女に先導されて入ってきた。そして、指示されるままに片膝をつく。  ゾア王が大きな口を開けた。 「ようこそ。我が国に、モモカワ、ええと……、モモタ」  その大きな牙、オレンジ色の髪に桃太の目が釘付けになる。 「コスプレ大会? 夢にしては生々しいけど」 「夢ではない」     
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