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大地を操りし者
アカツキ達がルブールの危機を聞かされたのと同時刻、ルブールには既にグランパニアの侵攻軍が到着していた。ルブールの大人たちと軍が、睨み合う形で向かい合っていた。
軍を率いる男は、黒い外套をだらしなく羽織っており、整えられていない髪はボサボサで、だらしなく不精ヒゲを生やしている。そこから覗く瞳は、どこかギラギラと光っていた。
やる気の無さそうな外見とは裏腹に隙を感じさせない、そんな男だった。
「いやあ、すんませんねえ。こんな仰々しい一行を連れてきてしまって。私はグランパニア軍の第一部隊の隊長を努めさせてもらってる、『オウル・デルタリア』って者です。以後お見知りおきを……」
オウルと名乗った男は、何処かふざけたような、気の抜けた声音で話を始める。挑発じみて聞こえるのは、見え隠れする彼の隙のなさが成す業なのだろうか。
「今回は、あれです。え~っと、シリウス・リヴェルさんでしたっけ?あなたに用があってここへ来ました。よろしければ、我々と一緒に国王の元に付いて来てくれやあしませんかねえ」
オウルは国民たちから、一斉に嫌悪の視線を向けられながらも気の抜けた話し方を替えずに淡々と要件を述べていく。
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