終焉の産声

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終焉の産声

 日々各地で戦乱に満ち溢れた世界。  ガーランド大陸と呼ばれるこの世界では日夜戦争が絶えない。この世界の王を決めるため、いくつもの国の王達が戦いを繰り広げている、そんな世界だ。今日も、あの国があそこの国を制圧したとか、どこかの国が壊滅状態とか、そんな噂ばかりがそこら中に蔓延していた。  しかし、そんな世界の中でも平和な国も幾つか存在した。  『ルブール』この国もその一つだ。国というにはおこがましいほど小さな村ではあるが、こんな世界にありながら、戦いのない平和な国だった。  木造建築の家が十数件立ち並び、総人口三十人くらいの小さな村である。森に囲まれており、周りから隔離されているため、他の国とのつながりはほとんどない。  この国が平和なのは、この立地条件が大きな要因である。森に囲まれた、権力も持たない小さな村など誰も目に掛けないのだ。  少し不便ではあるが、いくらか歩けば商業都市であるアルバーンが存在するため、生活にさほど困ることはない。徒歩で二、三時間くらいはかかるため、気軽にとまではいかないが。 「アカツキ、今日も一緒にアルバーン行ってくれるんだよね?」     
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