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 ……今日は穏やかな一日だったな……。  教材を抱え、社会科教員室へと向かうそのルート上にある階段を降りながら本日を振り返る。  いつもなら日に一回は見つかって絡まれているのが、今日は取っ捕まることなく今(放課後)を迎えている。迎えることができている。 「…………」  何かあったんだろうか。  心配……するわけではないけれど。  いつもあるものがない、というのはどうも変な感じがする。  なんだろう……つまらないっていうの?  いや、違うな……面白くないっていうか?  いやいや違うな……楽しくないって感じか?  と、そこで気付く。  本当に彼女──神崎さんは何の為に学校にいるんだろうか?  肩書きは無いにしろ、学校に居るのには理由があるはずだから…………ん、もしかしたら今日彼女に絡まれることがないのは、その理由で……つまりは仕事をしているから、なのか……? 「…………にしても気になるよなぁ…………」  神崎さん、本当に何なのだろう。  何をする人なんだろう。     
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