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 僕──小金餅石油王(こがねもちあらぶ)は今年の四月、ここ、雲涼高校に赴任してきた。母校でもあるこの学校で、教壇に立つことが出来るのはとても嬉しかったが、まさか彼女──神崎さんと再会するとは夢にも思わなかった。かつての同級生に会えたのは、それこそ嬉しかったけれど、なんだかこそばゆい感じもあって変な感じだ。しかし、懐かしい人と懐かしい場所で職場を同じく出来ることは、僕にとってとても心強く思えた。  ただ。  彼女の立ち位置が明確ではないのが気になるところではあるのだけれど。  というのも。  彼女の行動を見ているに、校内をうろついているだけのように見えるのだ。  ようは。  端から見ていて、何もしていない様子なのである。  再会したときに、話の流れで何をしてるのか訊いたけれど、「ゲートキーパーみたいな?」となんだか妙な答えが返ってきたのだった。 ・ ・ ・ 「日南先生は神崎さんの役職、知ってますか?」  授業を終えて、社会科職員室に戻ってきた僕は、デスクの右隣に座る日南ここあ先生に訊いてみた。彼女は社会科地理の担当をしている教諭である。 「神崎さんの役職? うーん、そういやなんだろ」  考え込まれてしまった。     
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