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「あ、氷室先生なら知ってるんじゃないですか? 神崎さんの役職」
日南先生が向かいに座る氷室達彦先生へ話題をトスした。氷室先生はペンを走らせていた書類から顔をあげてこちらを見る。
「知っているというか……まぁ、聞き及んではいるよ」
何か言いあぐねているような答え方だった。
「? それはどういう……?」
僕が図りかねていると、氷室先生は片眉を下げた。
「何と言うのかな……、その、彼女に……神崎さんに明確な役職は無いようなんだ。ただ、生徒たちの間では、カウンセラーだとか用務員だとか学校に棲み付いたお化けだとか色々と言われているらしいが……本当のところ、はっきりしないんだよ」
氷室先生の顔は最終的に難しい表情になった。
ちょっと待って。
今の中に不可解な単語があったのだけれど。
「お化けってなんですか」
そこだけ語彙のジャンルが違うと思う。
普通なら、「学校に住み付いた人」という言い方をするはず
お化けって。
いや、まぁ、高校生の言うことだから尾ひれどころか背鰭が付いた感じなのだろうけれど。
「小金餅先生は今年度赴任してきたばかりだから実感が無いのかもしれないけれど……そのお化け説も割りと信憑性を帯びてきてるんだよ。少なくとも私はそう感じる」
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