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 言って、氷室先生は複雑な顔をした。 「ちょっと、氷室先生、何言っちゃってるんですか、子供のざれ言に飲み込まれちゃダメですよー」  その手の話は聞き流すくらいがいいんですからー、と日南先生はケタケラと笑った。そんな日南先生に「……そうかもしれないな」と大人の対応をする氷室先生だったが── 「けれど、彼女の存在は私がここに来る以前からあったようなんだよ。私がこの学校に来たのは五年前だから──下手をすると七、八年前から存在していることになる」  と、補足するように言った。  それは、神崎さんの役職を曖昧にするどころか、その存在を模糊とするような補足だった。
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