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中谷裕子が席を立ち、教室から出ていくのを見送った。
教室から出る瞬間、一瞬僕の方を見た気がした。
僕も弁当も食べずに教室を飛び出し、体育館倉庫へ向かった。
体育館倉庫へ向かうまでの間、僕は覚悟を決めようとしていた。
淡い期待はしない。僕は取り返しのつかないことをしてしまった。
学校も退学になり刑務所で服役し、友達も失い、親や親戚たちからも見放され、
天涯孤独の人生を送る。もちろん大学へなんか行けないし、まともな職業にもつけない。
仕方ない。運命だったんだ。なぁに、星の瞬く一瞬で燃え尽きる人生、どんな形で生きようが死のうが、宇宙の大きさからすれば全くしょうもない些細なことだ。そう、僕は単なる宇宙の塵。その塵がほんの一瞬だけ自我をもっているに過ぎない。そんな塵の人生どうとでもなれだ。
体育館倉庫前に来て、僕は深呼吸をした。僕の人生は終わる。
しかしその時、中谷裕子はどうして僕を体育館倉庫に呼び出したのかがふと気になった。
自分がレイプされた現場にわざわざ相手を呼びつけるなんて。もしかして。。
体育館倉庫の扉を開けると、中谷裕子は跳び箱の上に座って待っていた。
「遅かったね」
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