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第3話 襲来
俺の脳内結論は、クラスが違うし、あまり会うこともないだろうということで終わったが、そんな考えは次の日の早朝に打ち砕かれた。
「優斗くんはいますか?」
寧々が、俺のクラスに入ってきたのだ。
「お、おい!優斗!お前なんかをあの咲蕾さんがお呼びだぞ!」
俺は、友人の五十里 健吾がおかしな挙動でこちらに近づいてきた。その時、寧々は、俺の場所に気づき、トタトタとやってくる。
「優斗くん、どうして反応してくれないのですか?」
寧々は頬を膨らめせ、愛らしく怒る。それがどうにも眩しくて、俺は、目を細めながら言った。
「ごめん、今気づいたんだ」
俺がしっかりと謝ると、寧々は急にしょんぼりとした顔をしたあと、フルフルと首を振っていつもの表情へと戻った。
「そうですか、それならしょうがないですね」
そしてその流れで、寧々はあるものを渡してきた。それは、昨日渡したハンカチであった。
「昨日借りていたでしょう?洗っておいたの。貸してくれてありがとうございました」
寧々が渡してきたハンカチを取った俺は、動揺を隠せなかった。肌触りが違いすぎたのだ。
「……やわらかい」
俺はついそう呟いてしまった。その言葉を聞き逃さなかった寧々は、よくぞ聞いてくれましたと言った表情で語った。
「そうですよね。テレビでやっていたんですよ!干す前と乾かす前に二十回くらいパタパタするんですって!試してみたら、とてもふわふわになりました!」
寧々の柔らかな笑顔に周囲がほっこりとしていた。俺以外は。
「ありがとう」
俺は、またそっけなく返事をした。その言葉に、寧々は満足そうにまた笑った。そして寧々は「またねっ」と言って去っていった。残ったのは、ゆっくりと笑顔から真顔、そして驚きと怒りの形相に変わってゆく生徒たち。俺はゆっくりと席を立ち、叫喚呼号の矛先にされる前に教室から退室した。
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