あらすじ

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掻き分けるように、手繰り寄せるようにしてなにもない空間に少年は両腕を躍らせたが、そこには誰もいなかった。 それから二日が経った。 少年の表情はこの世から春が消え去ったような虚ろなものでなにもない空をぼうっと見ているばかりだった。 時々視界の端にロープを捉えるが用がないように視線を逸らす。 今度は使わなくなった通学カバンのほうへ目が移る。 学校へ行ってみる。 そんな突飛な考えが頭をよぎる。 一日だけでいい。 それが無理なら校門の前まででもいい。 彼の瞳の色が変わった。 次の日は彼にとって特別な日だった。 結果からいうと彼は授業を受けなかった。 朝から同じ学校の制服にまぎれながら同級生に気づかれないように慎重に校門の前まで歩いた。 悪いことをしているわけでもないのに校内での心持は窮屈でクラスのことを考えると腹痛を催した。 彼にとっての難しい境界線は校舎内に入るための下駄箱と三階にある自分のクラスで 教室内ではいつもと変わらないかのような空気が場を支配していた。 クラスメイトの何人かは彼に気づいたがまるで空気のようなその場にいないような そんなことを考えながら彼はすぐに帰ることにした。 彼が帰ってから何故かまた頭痛が再発した。 暑さのせいか変性意識状態のような意識が遠のくような状態。
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