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緊張の瞬間。そこにあるのは――平積みされた2冊の分厚い魔術書だ。
パルム「魔導書ですか」
フィール「これは、かの大魔術師メーガンベイツが残したとされる魔導書だ」
フィール、2冊の魔導書を手に取る。
フィール「魔導書は使用者に絶大なる魔力を与えるとされている」
パルム「絶大なる魔力……」
フィール「悪魔の力か、神をも超えるか。一夜にして街を火の海にしたと言う記録もある」
パルム「魔導書1冊でですか!?」
フィール「うむ。……多分。恐らくは」
パルム「(『適当言ったな』)……」
フィール「しかし、これが結構、曲者でな。魔力が絶大な分、使用者を選ぶ」
パルム「どういう事ですか?」
フィール「早い話が使えるものがいないのだ」
パルム「……それじゃ、意味がないじゃないですか」
フィール「試しに使ってみるか?」
と、2冊の魔導書を渡す。
受け取るパルム。何気なく、そのうちの1冊を開く。
パルム「こうしてみると普通の魔導書だ」
恐る恐る捲るパルム。
パルム「ん?」
その時、背後に違和感を覚えて、ゆっくり振り返る。
そこでは、なんの前触れもなく、灼熱の炎がメラメラ上がっている。
パルム「うわっ!?」
慌てて上着を脱いで、バサバサ炎を消そうとする。
パルム「何で炎が!」
しかし、炎はどんどん部屋中に広がっていく。
パルムはじわじわ部屋の隅に追いやられ、逃げ場を失う。
パルム「マジかよ……」
そして炎はパルムの足元を伝い――
パルム「うわあああああ!」
その悲痛な叫びが響く!
× × ×
パルム「!?」
ハッと目覚めるパルム。
辺りを見渡すと、何も起きてはいない。
パルム「し、司令……」
フィール「今のは幻だ。魔導書は使用者を飲み込み、幻想を見せる」
パルム「そんなの、扱えるわけないですよ」
フィール「確かに、並の人間には扱えないだろう。だが、並がいるなら上もいる」
意味深に笑うフィール。
怪訝なパルム。
フィールが棚に視線を送る。
パルム、視線をたどって棚をよく見る。
パルム「これは……3冊分のスペース?」
棚には、3冊収めてあったと思われる形跡がある。
〇ホーリーランド・市街
シャロンが観光客を引率している。
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