第1話

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シャロン「みなさん、ここから先は自由行動です! くれぐれも集合時間に気を付け  て、安全第一でお楽しみください!」 観光客達「はーい」      ×     ×     ×    ベンチに座るシャロン。    鼻歌交じりに鞄から本を取り出す。    その本とは――3冊目の魔導書である。    シャロンは魔導書をまじまじと眺める。 シャロン「ふふっ」    そして、それをぎゅっと抱きしめる。    ご機嫌である。    と、その時。遠くから、サイレンの音がけたたく。 シャロン「!」 男A「なんだなんだ?」 女A「自警団よ」    と、道行く人々が騒ぐ。 シャロン「第2地区のほうだ」    サイレンは徐々に近くなり、慌ただしく出動する声や音も聞こえてくる。 シャロン「あ……」    シャロン、追おうとするが―― シャロン「でもでも、ガイドがあるし……」    葛藤するシャロン。その場であたふたしてしまう。    道行く人々に変な目で見られる。 シャロン「よし――」    そして、もどかしさが限界になって、飛び出そうとした時―― 謎の声「ガイドさん」 シャロン「はいっ?!」    と、突然。目の前に少女がいる。    冷たい印象の少女、アイナ・アルベルト(16歳)である。 アイナ「第2地区ってどこにあるかな」 シャロン「(思わず笑顔で)それでしたら、メインストリート沿いにある魔法研究所を目指すのが早いです。そこから先が第2地区になります」    シャロン、鞄から地図を取り出す。 シャロン「そうだ。良かったら地図をどうぞ」    差し出すシャロン。受け取るアイナ。 アイナ「ありがと、ガイドさん」 シャロン「どういたしまして」    去っていくアイナ。    シャロンはその背中に笑顔で手を振るのだった。 シャロン「(ハッと)……これって、職業病?」 〇第2地区    ――路地裏である。    すぐ近くからサイレンの音が聞こえてくる。    その時、地面が光り輝く。    光はやがて線となり、複雑な形状の魔法陣を形成する。    次の瞬間、魔法陣から悪魔のような禍々しい手が這い出てきて―― 〇自警団支部・ブリーフィングルーム    の、扉が開いてシャロン(お疲れ気味)が入ってくる。 シャロン「ただいま戻りました」    室内を見る。誰もいない(?)。 シャロン「パルム隊長?」 パルム(オフ)「ぐ……」 シャロン「ぐ?」
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