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お墓の近くの信号機
これは実際に私が体験した話です。
私がいつも夜遅く、学校帰りに通る道には信号があります。
それも、お墓の近くに。
でも、その信号は歩行者がボタンを押さないと変わらない、いわゆる押しボタン式の信号です。
「おまちください」という文字が赤く光るアレです。
しかもその道を通る歩行者はかなり稀で、そのボタンは押されることはほとんどありません。
だから私はいつも安心しきって、左右をチラリと確認するだけで横断歩道を立ち漕ぎで颯爽と駆けています。
ある日のこと。
私はいつも通り、その信号が青なのを少し遠くから確認して横断歩道を立ち漕ぎで走り抜けようとしました。
すると、信号が変わりました。
あ、誰かいたのかな、こんな時間に珍しい。
そう思って信号が変わるのを待っていたんです。
しかし一向に歩行者が歩いていくのが見えません。
おかしいな、何でだろう。
そう思いましたが、私は特に気に留めることなく、信号が変わったのを見て、自転車で走り出しました。
また次の日。
今度は、目の前で信号が点滅し出しました。
あ、今度こそ誰かがボタンを押したのだろう。
だって、ボタンを押すと光る赤色の明かりがついているんだから。
そう思って辺りを見回すんですけどね、誰もいなんですよ。
たまたまなのか、あるいは――お墓から自宅に戻ろうとする霊がボタンを押したのか。
もしかしたら、その信号はボタンを押さなくても自動的に「おまちください」と出るだけの、幽霊などとは一切関係ない、人為的なものなのかもしれません。
でも、何が原因なのか分かりません。
お墓の近くという、いかにもな場所の信号だからこそ思う、不思議な、そして少し恐ろしい体験でした。
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